Guide — 選び方

ヌメ革とは:「革の中の革」の特徴と経年変化、はじめの半年に気をつけたいお手入れ

編集 Sakura MATSUI公開

In short — まずお伝えしたいこと

ヌメ革は、植物由来のタンニンでなめし、表面の加工をほとんど施さずに仕上げた革です。使うほどに色が深まり、つやが出てくる経年変化が魅力ですが、水や傷には弱い革でもございます。お求めになってしばらくは、乾拭き程度で十分です。新しいヌメ革にクリームを塗ると跡や色の変化が出ることがあるため、乾燥が見えてきてから、ブランドの案内に沿って油分を補ってください。

木の机に置かれた、淡い肌色のヌメ革の長財布と、飴色に深まった同じ形の財布

淡い色からはじまり、使うほどに飴色へと深まっていくヌメ革。革の品に親しむ方の多くが、一度は手に取りたいと思われる革ではないでしょうか。このご案内では、革の業界団体である日本タンナーズ協会の解説と、国内の革製品ブランド3社が公式に公開している案内をもとに、ヌメ革の特徴と、お手入れで気をつけたいことをまとめました。

以下は、各団体・各社が公開している説明を要約したものです(2026年10月12日確認)。

ヌメ革とは

淡い肌色のヌメ革の一枚革を、木の作業台に広げたところ

ヌメ革は、植物由来のタンニンでなめし、表面の加工をほとんど施さずに仕上げた革です。言葉の定め方は、説明する立場によって少し異なります。

  • 日本タンナーズ協会:タンニンでなめしただけの、染色や仕上げが施されていない革
  • 土屋鞄製造所:植物の渋にも含まれるタンニンで牛の原皮をなめし、型押しなどの表面加工をほとんど施さずに仕上げた革

土屋鞄製造所は、もっとも革らしい雰囲気をもつことから、ヌメ革が「革の中の革」とも呼ばれると紹介しています。お求めの際は、商品ページの素材の説明もあわせてご覧ください。

土屋鞄製造所の成り立ちや扱う革は、「土屋鞄製造所のご案内」にまとめております。

タンニンなめしという、ひと手間

木の樽が並ぶタンナーの作業場に、乾かすために吊るされた淡い色の革

ヌメ革のもとになるタンニンなめしは、時間と手間のかかる方法です。日本タンナーズ協会は、なめしの代表的な方法として、タンニンなめしとクロムなめしを次のように説明しています。

なめしの方法特徴(日本タンナーズ協会の説明の要約)
タンニンなめしなめしに数か月を要することもあり、手間と時間がかかる。クロムなめしに比べて伸びや弾力が少ない。熱にはいくぶん弱いが、形づくりやすい。タンニンの発色や日焼けによる色の変化で、経年変化を楽しめる
クロムなめし短い時間でなめせ、たくさん作れるため経済性に優れる。柔らかさ、保存性、熱への強さ、染めやすさに優れる

使うほどに深まる、色とつや

淡い色から飴色まで、色の深まり方の異なる3つのヌメ革のキーケースを並べたところ

ヌメ革の魅力は、使うほどに色が深まり、つやが出てくることです。土屋鞄製造所は、その仕組みを次のように説明しています。

  • 日光や熱で日焼けし、ケアオイルや手の脂が染み込むことで、色が深まる
  • 日光や熱、摩擦などで、革がもともと含む脂分が表に染み出し、磨かれて独特のつやが出る
  • 使い始めはやや固く、使い込むうちに繊維がほぐれて、柔らかくなじむ

同社は別のページで、タンニンなめしの革は経年変化によって色が濃くなり、黄みや赤みを帯びてくると案内しています。

なめし方や革の種類による経年変化の違いは、「経年変化のご案内」にまとめております。

「自然の刻印」も、ヌメ革らしさ

淡い色のヌメ革の表面に見える、細かなしわや毛穴の自然な模様の接写

ヌメ革には、牛がもともと持っていた傷やしわの痕が、そのまま表れます。表面の加工をほとんどしないため、ほかの革よりはっきり見えるのです。土屋鞄製造所は、これを「ナチュラル・スタンプ」と呼び、次のようなものを挙げています。

  • バラキズ:刺し傷や切り傷が治った痕
  • トラ:首やおなかのしわ、たるみを伸ばした痕
  • 血筋:血管が通っていた痕
  • 毛穴、かさぶたの痕

土屋鞄製造所は、これらが一枚一枚の革の個性や味わいになると説明しています。

反対に、革の表面を縮ませてシボを出し、こうした痕を目立ちにくくした革もございます。「シュリンクレザーのご案内」にまとめております。

Guide — あわせてご覧くださいシュリンクレザーとは:縮みが生む「シボ」の表情と、傷が目立ちにくい理由、お手入れの心得シュリンクレザーとはどんな革なのか。日本タンナーズ協会の解説と、土屋鞄製造所・GANZO・PELLE MORBIDA・ココマイスターの公式の…

はじめの半年は、乾拭きで

淡い色のヌメ革の財布を、白い柔らかな布でやさしく乾拭きしている手元

お求めになったばかりのヌメ革には、クリームやオイルを急いで塗らないほうが安心です。各社の案内は、次のとおりです。

  • ココマイスター:柔らかなクロスでやさしく乾拭き。新しいヌメ革はクリームで跡や色の変化が出ることがあり、購入直後から一律に塗ることは勧めない
  • 土屋鞄製造所:ふだんは乾拭きでほこりを払う程度。半年以上使って、カサつきなど乾燥の兆しが見えてきたら、オイルで油分を補う。定期的なオイルケアは、使い方に応じて1〜2か月に1回のペース

また、ヌメ革に限らず、油分が浸透しやすい革には、クリームでシミが出るものもございます(GANZOは、同社が扱う「ミネルバナチュラル」について注意を促しています)。

お手入れの全体の流れは、「お手入れの基本」にまとめております。

Guide — あわせてご覧ください革のバッグと財布、お手入れの基本:5ブランドの公式の手順を比べて見えてくる共通点と違い土屋鞄・ココマイスター・TUMI・GANZO・PELLE MORBIDAが公開しているお手入れの手順を比べ、ほこりを払うところから仕上げまで…

ヌメ革は、はじめは乾拭きだけで十分です。乾燥が見えてきてから、お手元の品のブランドの案内に沿って、少しずつ油分を補ってください。

水と傷には、とくにご注意を

窓辺の柔らかな光の中、雨粒のついた窓の手前に置かれた淡い色のヌメ革のトートバッグ

ヌメ革は、水と傷にとても弱い革です。土屋鞄製造所は、革の中でもっとも水の影響を受けやすく、雨に濡れるとシミや色落ち、色移り、カビの原因になると案内しています。

  • 水:水が付いたら、放っておかず、できるだけ早く拭き取る
  • 傷:傷を防ぐ加工をしていないため、爪などで凹みや傷が付きやすい。浅い傷は、指でもみ込んだり、経年変化で目立たなくなったりする場合もある
  • 熱:高温の場所に長く置くと、急に乾燥して傷んだり、変色したりするおそれがある
  • 色落ち:色止めの加工をしていないため、強い摩擦や水濡れで色落ちすることがある

雨の日の対処は「雨に濡れたときのご案内」に、しまい方は「保管のご案内」にまとめております。

Guide — あわせてご覧ください革のバッグと財布が雨に濡れたら:5ブランドの公式の案内でわかる、拭き方・乾かし方と前もっての備え革のバッグや財布が雨に濡れたときの対処を、土屋鞄・ココマイスター・吉田カバン・キプリス・PELLE MORBIDAの公式の案内をもとに整理し… Guide — あわせてご覧ください革のバッグと財布の保管方法:カビや型崩れを防ぐために、3ブランドの公式の案内を比べてしばらく使わない革のバッグや財布は、どこに、どのようにしまえばよいのか。土屋鞄・吉田カバン・ココマイスターの公式の案内を比べ、置き場所、中に…

おわりに

朝の光が差す木の机の上で、飴色に深まったヌメ革の手帳カバー
  • ヌメ革は、タンニンでなめし、表面の加工をほとんど施さずに仕上げた革です
  • 使うほどに色が深まり、つやが出る経年変化が魅力です
  • 牛がもともと持っていた傷やしわの痕も、ヌメ革らしい表情です
  • はじめは乾拭きで十分。新しいヌメ革に、クリームを急いで塗らないようにします
  • 水と傷には弱い革です。濡れたら早めに拭き取り、高温の場所は避けます
  • 革の仕上げの違いを知るには、「コードバン」や「ブライドルレザー」のご案内もあわせてご覧くださいませ
Guide — あわせてご覧くださいコードバンとは:「革の宝石」の成り立ちと、仕上げの違いで変わるお手入れコードバンとはどんな革なのか。米国のHorween社と姫路の新喜皮革という二つのタンナー、土屋鞄・ココマイスター・GANZO・キプリス・UN… Guide — あわせてご覧くださいブライドルレザーとは:白い「ブルーム」の正体と、英国の作り手、ブランドごとのお手入れの違いブライドルレザーとはどんな革なのか。英国のSedgwick社とWhitehouse Cox、土屋鞄・ココマイスター・GANZO・キプリスの公…