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Guide — 選び方

コードバンとは:「革の宝石」の成り立ちと、仕上げの違いで変わるお手入れ

編集 Sakura MATSUI公開 更新

In short — まずお伝えしたいこと

コードバンは、馬のお尻の部分にある緻密な繊維の層を削り出して仕上げる、希少な革です。同じコードバンでも、表面の仕上げによって表情もお手入れの仕方も変わります。顔料で仕上げたもの、染料で透明感を出したもの、ロウを引いたものなど、お手元の品の仕上げを確かめ、そのブランドが案内している方法でお手入れいただくのがいちばん確かです。どの仕上げでも、水には早めに対処なさってください。

柔らかな光の中、木の机に置かれた艶のある赤褐色のコードバンの二つ折り財布

艶やかで、凛とした表情をもつコードバン。財布や名刺入れ、鞄で、その名を目にされる方も多いことと思います。このご案内では、コードバンを作る国内外のタンナー(革を鞣す会社)2社と、コードバンの製品を手がける国内のブランド5社が公式に公開している説明をもとに、コードバンの成り立ちと、仕上げの違い、お手入れで気をつけたいことをまとめました。

以下は、各社が公開している説明を要約したものです(2026年10月12日確認)。数値や表現には、会社によって違いがございます。

コードバンとは

木の机に置いた、不定形の一枚の艶やかな赤褐色のコードバン

コードバンは、馬のお尻(臀部)の部分にある、繊維がとても緻密な層を使った革です。土屋鞄製造所によると、原皮は主に農耕馬の臀部の皮で、植物の渋で鞣したあと、表と裏から削り込んで緻密な層だけを残し、その面を磨いて仕上げます。1頭から取れる量はごく僅かで、その希少さと美しい光沢から「革のダイヤモンド」「革の宝石」とも呼ばれます(土屋鞄製造所、ココマイスター、キプリスの説明より)。

よく名前の挙がる、二つのタンナー

木の鞣し槽が並び、干された革が吊るされたタンナーの作業場

コードバンは、作るのに長い時間と専用の設備が要る革です。製品の説明で名前を目にすることの多いタンナーが、米国のHorween(ホーウィン)社と、兵庫県姫路市の新喜皮革です。

項目Horween Leather Co.新喜皮革
所在地米国イリノイ州シカゴ(全工程を同地で行うと説明)兵庫県姫路市
歴史1905年から革を作り続けていると紹介70年以上の積み重ねと、コードバンについて40年以上の研究があると紹介
呼び名Genuine Shell Cordovan(シェルコードバン)オリジナルコードバン、オイルコードバンの2種類
仕上がるまで鞣し、加脂、削り、磨きまで少なくとも6か月熟成・鞣し・削り出し・乾燥などで計10か月
作り方の説明(要約)楕円形の「シェル」を植物タンニンの液にゆっくり漬け、油脂を加えてガラス枠で乾かす。職人が手で削ってシェルを出し、染料を手で擦り込み、最後に手で艶出しをするヨーロッパの原皮を海路で運び、長い熟成と鞣しを経て、臀部の緻密な繊維層を裏側から削り出す。ふたたび熟成と乾燥に時間をかける

新喜皮革は、馬革だけを一貫して作り、なおかつコードバンを製革できる会社は、世界でも同社のみとなったと説明しています。GANZOも、使っているコードバンは新喜皮革で作られていると紹介しており、ココマイスターはHorween社のシェルコードバンを使ったシリーズを展開しています。

ブランドごとの革の使い方や価格帯は、「GANZOのご案内」と「キプリスのご案内」にまとめております。

Guide — あわせてご覧くださいGANZO(ガンゾ)とは:世界の革を選ぶ日本のブランドの、素材・価格帯・修理・店舗のご案内GANZO(ガンゾ)はどんなブランドなのか。公式サイトの案内をもとに、ものづくりの考え方、コードバンやブライドルレザーなど素材ごとのシリーズ…

仕上げによって、表情が変わります

麻の布の上に並べた、艶や表情の異なる4枚のコードバンの端切れ

同じコードバンでも、表面の仕上げ方によって見た目も扱い方も変わってまいります。UNIQUEONを手がけるレーデルオガワは、コードバンの仕上げはおおまかに3種類あり、お手入れの近道は「表面の仕上げを把握すること」だと説明しています。各社が紹介している主な仕上げは、次のとおりです。

仕上げ作り方(各社の説明の要約)表情と変化紹介している会社
顔料仕上げ顔料で、平らな表面の上に塗膜を幾重にも重ねる傷がつきにくく、淡い色も表現できる新喜皮革(オリジナルコードバン)
染料仕上げ(水染め)顔料を吹き付けず、透明感のある染料を重ねて染め、メノウ(瑪瑙)の石で磨いて艶を出す(グレージング)(土屋鞄製造所、ココマイスター)透明感のある色と光沢。使い込むほど光沢に柔らかみが増す(土屋鞄製造所)土屋鞄製造所、ココマイスター
アニリン染め(レーデルオガワ)彩度の高い塩基性染料と、手作業で圧縮させた繊維で仕上げる革本来のツヤで、宝石のような風合いを楽しめるレーデルオガワ(UNIQUEON)
オイルコードバン染料で色を整えたあと、オイルを含んだ表面をガラスや瑪瑙で磨いて艶を出す独特の透明感と艶、色の深み。新喜皮革は、非常にデリケートな表面のため取り扱いに注意を、としている新喜皮革、ココマイスター
ロウ引き表面にロウをまぶすはじめは白いロウでくもったような表情。なじむと色と艶が際立つココマイスター
シェルコードバン(Horween社)植物タンニンの液にゆっくり漬け、油脂を加え、最後に手で艶出しをする(Horween社)ココマイスターは、オイルを多く含み、はじめはマットで、使い込むと光沢が出ると説明。色むらも風合いのひとつHorween社、ココマイスター

分け方や呼び名は、会社によって異なります。上の表は、各社の説明を当サイトで整理したものです。

お手元の品が、どの仕上げのコードバンかを知ることが、お手入れの第一歩です。商品ページや、お求めになったお店でお確かめください。

ブランドごとの説明を並べて

麻の布の上に並べた、赤褐色・紺・焦げ茶・黒のコードバンの財布と名刺入れ

国内のブランド5社が、コードバンについて公開している主な説明を並べました。

ブランド使っている革(公開されている範囲)お手入れ・扱いについての案内(要約)
土屋鞄製造所水染めコードバン皮革用オイルを米粒ほど取り、折れ曲がる部分から全体へ薄く塗り、10〜30分置いて乾拭き。水がとても染みやすく、雨や結露、ズボンのポケット(汗)にも注意
ココマイスターHorween社のシェルコードバン、日本製のオイルコードバン・水染めコードバン・ロウ引きコードバン仕上げごとに表情と経年変化が異なると案内
UNIQUEON(レーデルオガワ)レーデルオガワ製のアニリン染めコードバン水分と油分の少ない固形ワックスを指で薄く塗り、5分ほど置いて拭き取り、乾拭き。液体をつけると艶が失われることがある
GANZO新喜皮革のコードバン柔らかい布で乾拭きするだけでも、十分な艶が出る
キプリスタンニン鞣しを施して磨き上げたコードバン水や油分に弱く、水分が付いたまま放っておくと水膨れのような跡が残ることがある。濡れたらすぐに拭き取る

UNIQUEONとキプリスのコードバンの品は、それぞれの公式オンラインショップでご覧いただけます。

お手入れで、気をつけたいこと

艶のあるコードバンの財布の表面に落ちた水滴と、隣に置いた白い布

水には、すぐに対処を

キプリスと土屋鞄製造所は、コードバンが水に弱いことを、そろって注意しています。水や油分が付くと、染みや水膨れのような跡、色落ちなどが起こることがございます。濡れたらすぐに拭き取り、雨の日のお出かけでは、どうぞお気をつけくださいませ。

濡れたときの拭き方や乾かし方は、「雨に濡れたときのご案内」にまとめております。

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ケア用品は、仕上げとメーカーの案内に合わせて

同じコードバンでも、仕上げによって合うお手入れが異なります。上の表のとおり、各社の案内も分かれています。

  • 土屋鞄製造所:皮革用のオイル
  • レーデルオガワ:水分と油分の少ない固形ワックス
  • GANZO:乾拭きだけでも艶が出る

お手元の品のブランドが案内している方法に沿い、初めてのケア用品は目立たないところで試していただくのが安心です。日々のお手入れの流れは、「お手入れの基本」にまとめております。

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おわりに

椅子にかけた紺のジャケットのポケットからのぞく、赤褐色のコードバンの財布
  • コードバンは、馬のお尻の緻密な層を削り出して仕上げる、希少な革です
  • 米国のHorween社と姫路の新喜皮革が、よく名前の挙がるタンナーです
  • 顔料、染料、オイル、ロウなど、仕上げによって表情とお手入れが変わります
  • お手元の品の仕上げを確かめ、ブランドの案内に沿ってお手入れを。水には早めの対処を
  • 艶の出方が異なる「ブライドルレザー」と見比べてみるのも、選ぶ楽しみのひとつです
  • 長く使ううちの傷みについては、「修理の窓口と条件の比較」もお役立てくださいませ
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